夏こそ要注意!水分補給のつもりが虫歯リスクUP!?
2025/08/15 ブログ
こんにちは。愛媛県松山市の「もりもと歯科クリニック」院長の森本です。当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただきありがとうございます。
今年の夏は特に暑い日が続いており、熱中症対策のためにも普段より水分を多く摂っている方が多いと思います。水分摂取は大切ですが、暑いからと言ってジュースやスポーツドリンクをだらだら飲んでいると、虫歯になるリスクが高まります。
そこで今回は、どんな飲み物にどれくらいのリスクがあるのか、虫歯になる可能性を下げつつジュースを飲む方法などについて解説します。大人の方はもちろん、お子様の虫歯予防のヒントにもしていただければと思います。
そもそも虫歯ができるのはなぜ?「pH」とは?
お口の中は通常、中性〜アルカリ性に保たれています。飲食をすると、食べ物や飲み物に含まれる糖分をもとに口腔内の細菌(主にミュータンス菌)が酸を作り出し、口腔内が酸性になって、歯の表面のエナメル質からカルシウムなどがどんどん溶けていきます。これを「脱灰(だっかい)」といい、虫歯の原因となります。
飲食を終えると唾液が分泌されますが、唾液には酸性になった口腔内を中性〜アルカリ性に戻し、溶けた歯を修復する働きがあります。これを「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。
脱灰が一時的な状態であれば、唾液の力で歯を修復して健康な状態を保てますが、だらだら飲食を続けたり、糖分が多いものばかりを食べたりすると、脱灰のスピードに再石灰化が追いつけず、歯がどんどん溶けて虫歯になるリスクが非常に高まります。
酸性やアルカリ性の度合いを表す単位として「pH(ペーハー)」があります。pH7が中性で、数値が低いほど酸性が強く、高いほどアルカリ性が強くなります。口腔内のpHが5.5以下になると脱灰が起こり始め、虫歯の要因となります。
主な飲み物のpHと虫歯リスク
pH値が低い飲料を頻繁に、長時間かけて飲んでいると、脱灰の時間が増えて虫歯になる可能性が高まります。ではどんな飲み物が、pHが低いのでしょう?
飲み物 | pH値の目安 | 虫歯リスクの目安 |
水(水道水・ミネラルウォーター) | 約7.0 | 非常に低い |
お茶(緑茶・麦茶など) | 約6.0〜7.0 | 低い |
無糖のコーヒー | 約6.5 | 低い〜中程度 |
オレンジジュース | 約3.5〜4.0 | 中〜高 |
スポーツドリンク・エナジードリンク | 約3.0〜3.5 | 高い |
コーラ類(炭酸飲料) | 約2.2〜2.5 | 非常に高い |
※pH値は製品ごとに差があります。上の表は一般的に示されている目安です。
水は中性に近く、脱灰の心配が非常に少ないです。ちなみに日本の水道水は、水質基準などを定める水道法によりpH5.8以上8.6以下と決められています。
お茶や無糖のコーヒーもほぼ中性〜弱酸性で、虫歯のリスクは低いです。コーヒーに含まれるポリフェノールは抗菌作用が期待できますが、飲み過ぎると歯の着色の原因になるので歯磨きは忘れないようにしましょう。
オレンジジュースのほか、熱中症対策としても飲む機会の多いスポーツドリンクは、電解質の補給に有効な一方、酸性度が高くダラダラ飲みによって虫歯リスクがUPします。コーラなど炭酸飲料はpHが特に低く、虫歯リスクが最も高いといえます。
虫歯リスクを避ける、夏のドリンクの飲み方
虫歯になるのは避けたいけれど、美味しいジュースやスポーツドリンクは飲みたいですよね。以下に、虫歯のリスクを減らす飲み方を紹介します。
ダラダラ飲みを避けて、口をすすぐ
飲み物を少しずつ長時間かけて飲む「ダラダラ飲み」は、口腔内のpHを長時間、低い状態にして、再石灰化の時間を奪ってしまいます。ジュースなどを飲んだ後に、水やお茶でうがいをすることで、口中のpHを素早く中和できます。
ガムを噛む、ストローを使って飲む
ストローを使って飲むことで、飲料が歯に直接触れたり、口の中に溜まったりする時間を短くできます(虫歯リスクがゼロになるわけではありません)。また、ガムを噛むと唾液の分泌が促されるため、中和作用と再石灰化に効果的です。キシリトールを含むガムは再石灰化をより促すため、お勧めです。
タイミングと量を工夫する
食事中や食後すぐなど、唾液がより分泌されているタイミングでジュースや清涼飲料水などを飲むと、虫歯のリスクが比較的下がります。飲む回数や量を抑え、水分補給として常にがぶ飲みするのではなく、嗜好や気分転換の“たまの楽しみ”として飲むのが望ましいでしょう。
また、冷たすぎる飲み物は、飲むスピードが早くなりがちです。そして、冷えによって唾液分泌が抑制されやすくなるため、常温で飲むのもおすすめです。
虫歯予防で見る、飲み物選びのヒント
虫歯予防の観点から見た、シーン別の飲み物の選び方を紹介します。
シーン | おすすめ飲料例 | 理由 |
喉が渇いた/水分補給が目的 | 水、お茶、麦茶、無糖の炭酸水など | pHが中性〜弱酸性。虫歯リスクが低い |
スポーツ後の素早い水分補給、熱中症時 | 電解質を含む水、スポーツドリンク薄め | 電解質補給とpH対策の両立(薄めて飲む) |
朝・昼のリフレッシュ | 無糖コーヒー、お茶類 | 低カロリーで虫歯リスクも比較的低い |
おやつ感覚・フレーバーが欲しい | オレンジジュースなど果汁100%飲料 | 食事中に飲んだり、水と一緒に摂るなど工夫 |
生活習慣のちょっとした工夫で“虫歯になりにくい歯”に
冷たさや喉越し、味の良さに惹かれてつい手を伸ばしてしまう夏の飲み物。暑い日に飲むと美味しさも格別ですが、その種類と摂り方次第では、虫歯になるリスクを高めてしまいます。
水やお茶、無糖のコーヒーなどpHが比較的高い飲み物を積極的に選ぶ、ジュース類のダラダラ飲みを避ける、飲んだ後は口をすすぐ、キシリトールガムを噛むなど、再石灰化を促す工夫を日常に取り入れましょう。
生活習慣のなかでちょっと工夫をするだけで、“虫歯になりにくい歯”を目指すことができます。もりもと歯科クリニックでは、虫歯を防ぐ「予防歯科」に力を入れています。定期的な検診で虫歯の予兆がないかチェックするほか、ブラッシング指導や、食生活をはじめ生活習慣に関するアドバイスなどを行っています。
大人はもちろん、お子様の診療も行っております。歯の健康について、ご家族そろってご相談ください。
こちらもご覧ください。
一般歯科|診療内容|もりもと歯科クリニック
小児歯科|診療内容|もりもと歯科クリニック
虫歯や歯周病の原因に?ドライマウスの原因と対策|ブログ|もりもと歯科クリニック