梅雨や台風、雨の日に歯が痛むのはなぜ?気圧性歯痛とは
2025/07/04 ブログ
こんにちは。愛媛県松山市の「もりもと歯科クリニック」院長の森本です。当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただきありがとうございます。
梅雨の季節になると、「雨の日になると歯が痛む」という方が増えます。実はこの現象、気圧の変化が関係していることが分かっています。そこで今回は、なぜ低気圧で歯が痛むのか、どんな方に痛みが出やすいのか、家庭での応急ケア、もりもと歯科クリニックの治療などを詳しく解説します。
歯髄腔と気圧性歯痛
歯の中心には神経や血管が通る「歯髄腔(しずいくう)」という空洞があります。通常、ここは外気と同じ気圧に保たれていますが、天候の変化、特に低気圧が近づくと、外の気圧に比べて歯髄腔内の圧力が相対的に高くなり、膨張・圧迫が起こりやすくなります。それにより神経が刺激され、一時的に歯がズキズキと痛むことがあります。これを「気圧性歯痛」といいます。
飛行機に乗ったときや、標高の高い山に登ったときにも同じ原理で同様の現象が起こるため「航空性歯痛」とも呼ばれています。
気圧の変化によって頭痛や関節痛、歯痛が起こることは、いわゆる「天気痛」とも呼ばれ、気象に敏感な方では体内の空洞や血管が影響を受けることで症状が出やすくなります。
梅雨など低気圧で痛みが強くなる理由
気圧性歯痛は、神経への直接的な刺激以外にも、さまざまな要因が複合的に重なって痛みを感じやすくなります。
免疫力・体力の低下による炎症の悪化
梅雨期や秋口などは、気温・湿度・気圧の変化に身体が対応するため、免疫力が低下しやすい時期です。その結果、歯周病や根尖性病変などの炎症が進行しやすくなり、痛みも強まります。気圧変化後1~3日で歯周病が悪化する傾向が示されるという研究結果も発表されています。
参考:慢性歯周炎の急性期の発生は気象変化後1〜3日|岡山大学大学院医師薬学総合研究科(歯) 予防歯科学分野 森田学教授の発表より
自律神経(交感神経)の過剰反応
気象変化によって交感神経が刺激されると、痛みの感じやすさのレベルが下がり、普段は気づかない程度の軽い圧迫や違和感にも敏感に反応するようになります。
気圧性歯痛が出やすいケース
では、どんな場合に気圧性歯痛が出やすいのでしょう?要因にはさまざまなものがあります。
虫歯がある場合
虫歯によってエナメル質や象牙質に穴があると、そこに空気が入り込み、気圧の変化による膨張や収縮の影響を直接受けて神経が圧迫されやすくなります。
虫歯治療中・詰め物の不良がある方
治療段階にある、あるいは詰め物や被せ物に隙間や不具合がある場合、そこに気圧の影響が出やすくなり、痛みが生じることがあります。
歯の神経を治療した方(根管治療)
歯の神経を除去した後の歯でも、根管内の空洞に残った空気や薬剤によって圧力変化が起こり、痛みが出やすくなるケースがあります。
親知らずに何か異常のある方
親知らずの周囲が炎症を起こしていたり、親知らずが埋伏状態にある場合、低気圧の時に組織が腫れやすく、歯痛が出ることがあります。
歯周病や膿ができているケース
歯周ポケットや根尖部に膿がある場合、その袋内の気体・組織が気圧により影響を受け、圧痛が現れやすくなります。
自分でできる気圧性歯痛の応急ケア
気圧性歯痛が出たら、できるだけ早く痛みを取り除きたいもの。自分で応急処置をするには、どうすれば良いのでしょう。
外側から冷やす
痛む箇所を、タオルで包んだ氷嚢などで外側から冷やすと血流が減り、痛みを和らげる効果が期待できます。冷やしすぎると血行不良で逆に痛みが悪化する場合があるため注意してください。
鎮痛剤の利用
非ステロイド系(NSAIDs)の鎮痛剤は痛みや炎症を和らげるのに有用です。用法・用量を守り、持病・服薬がある場合は医師にご相談ください。ただし、痛み止めは痛みを一時的に和らげるもので、根本的な解決にはならないため、早めに歯科医院を受診しましょう。
姿勢を起こして安静に
横になったり頭を下げたりすると、血流により痛みが増す可能性があるため、上体を起こして安静にし、痛みの悪化を防ぎましょう。激しい運動なども、痛みを増幅させる可能性があります。
口腔内ケア
梅雨期は細菌が活性化しやすいため、こまめな歯磨き、デンタルフロス、抗菌マウスウォッシュなどで口内を清潔に保ち、虫歯や歯周病の悪化を防ぐことも、気圧性歯痛の軽減につながります。
歯科医院での気圧性歯痛への対応
痛みが出たら自己判断せず、自身での応急ケアとともに歯科を受診してください。気圧が原因で痛む場合は、虫歯や歯周病が進行しているケースが考えられます。また、詳しく検査をしたところ気圧は関係なく、虫歯・歯周病そのものの痛みが増していたという場合も多々あるためです。
歯科医院では、まずレントゲンや口腔内の検査により、虫歯・歯周病・根尖性病変の有無を確認します。
詰め物や被せ物の緩み、咬合不良があれば調整・再製作を行います。根管治療中の歯の場合、再治療や加圧・密封処置を行い、内部圧の変動を軽減します。また、膿や炎症がある患者様には、内服薬・外科的処置で早期に炎症コントロールを行います。
そして大切なのが、その後の口腔ケアです。ブラッシング指導、定期メンテナンスなどにより、気圧性歯痛の再発リスクを軽減させます。
「雨の日だけ歯が痛む」は体からの重要なサイン!まずは歯科医院へ
梅雨や台風の時期は気圧の変化によって、普段は感じない歯の違和感が出やすくなります。「雨の日だけ歯が痛むな…」と思ったとき、それは体からの重要なサインです。「天気だけの問題」「他の日は痛くないから大丈夫」と思わず、痛みを感じたら早めに歯科医院にご相談ください。
愛媛県松山市のもりもと歯科クリニックは、患者様1人ひとりに丁寧に向き合い、歯と全身の健康を考えながら治療を行っています。歯の痛みや違和感、お悩みなどがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
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