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銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは

銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは

2023/01/20 ブログ

こんにちは、愛媛県松山市のもりもと歯科クリニック院長の森本です。

当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただき、ありがとうございます。

本日は、2016年に保険適用が停止された、詰め物の金属素材「アマルガム」について、お話ししていきます。

アマルガムとは?

アマルガムとは、「歯科用水銀アマルガム」の略で、水銀などの金属でできている合金です。水銀およそ50%、銀35%、スズ9%、銅6%、少量の亜鉛からなる「無機水銀」で、水俣病の原因になった有機水銀(メチル水銀)とは異なります。いわゆる「銀歯」とよばれる金属の詰め物・被せ物に、100年近く前から使用されていましたが、水銀の安全性を疑問視する声が上がり、日本では2016年に保険適用外となりました。

なぜアマルガムが使われていたの?

抗菌性が高く、二次カリエス(治療後、再び発生する虫歯)になりにくい点が大きなメリットです。確かに、私も治療で患者様のアマルガムを除去することがありますが、二次カリエスになっていないケースが、多いと感じます。

また、治療で使うときは柔らかい素材のため、歯の穴にぴったり密着させて充填できます。充填後はしっかり強度が増すので、長持ちするという利点もあります。

材料が安く入手できて、治療費もおさえられることから、1980年代まではごく一般的に使われていました。

銀歯イメージ画像 もりもと歯科|銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは
写真はイメージです

アマルガムが人体に及ぼす影響

当初は「安全性・耐久性が高い」とされてきたアマルガムですが、実際には口の中で少しずつ劣化、腐食していきます。アマルガムはわずかな刺激で気化するため、劣化すると水銀を含んだ蒸気が発生し、体内に吸収されていきます。すると、ほかの歯科金属による金属アレルギーと同じように、水銀が血液の循環によって全身にまわり、さまざまな症状を引き起こします。水銀は有害物質のなかでも毒性が強く、口内炎、歯肉炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、頭痛、めまい、不眠症、感覚異常、免疫性疾患などを発症する恐れがあります。

金属アレルギーの画像|銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは|もりもと歯科

また、不妊の原因になるという報告や、胎児や母乳に影響が及んだりする恐れもあるとされています。そのため、1980年〜1990年代には、スウェーデンやイギリスで、妊婦へアマルガムを適用しないよう注意が促されました。

アマルガムは日本でまだ使われている?

アマルガムを規制する動きは世界的に広がっており、現在、デンマークやイギリスでは、妊婦に限らずすべての患者に対して、使用が禁止されています。

日本では、使用禁止までにはなっていないものの、2016年4月に保険適用の対象から外されたので、いま現在も治療で使われているケースは、ほとんどないと思われます。

平成28年度診療報酬改定の概要(歯科)抜粋|銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは|もりもと歯科
出典:厚生労働省|平成28年度診療報酬改定の概要(歯科診療報酬)

詰め物・被せ物の素材開発や治療技術は年々進歩しており、アマルガムに限らず、非金属の白い素材を使うことができます。保険適用ではレジン(歯科用プラスチック)、保険適用外ではオールセラミック、ジルコニアなどが使用できます。

もりもと歯科クリニックで扱っているセラミック素材の一覧は、下記ページをご覧ください。
セラミック治療の素材の種類|掌蹠膿疱症〜メタルフリー治療で症状を改善へ〜|もりもと歯科

自分の歯にアマルガムが入っているかも?

ここまで読むと、自分の歯にアマルガムが入っているか、心配になりますよね。一概には言えませんが、1990年頃までに、虫歯の治療で金属の詰め物・被せ物を入れた方は、アマルガムが入っている可能性もあります。アマルガムは、光沢がなく黒色なのが特徴です。不安がある場合は、歯科医院の受診をおすすめします。

もりもと歯科クリニックでは各種検査や診査を行い、アマルガムがあるか、二次カリエスがないかなどを調べています。

銀の詰め物が入っている歯のイラスト|銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは|もりもと歯科

アマルガムの除去は、徹底した衛生管理ができる歯科医院で

すでに口腔内にあるアマルガムを取り除くか否かについては、歯科医師によって見解が異なります。アマルガム除去の過程で水銀が拡散することから、むやみに取り除かないほうがいいのではという声もありますが、私は患者様の全身の健康のためにも、除去したほうが良いと考えています。

アマルガムはわずかな刺激で気化するため、削ると当然、水銀を含んだ蒸気が発生します。治療環境をきちんと整えていなければ、患者様はもちろん、歯科医師、まわりのほかの患者様やスタッフにも、水銀の影響が及ぶ可能性があるため、治療には細心の注意が必要です。

もりもと歯科クリニックでは、そういった危険を回避するため、徹底した衛生管理体制を整えています。ラバーダム(細菌や有害物質が拡散しないようガードするゴム製のシート)や、細かい粉塵も吸い取れる口腔外バキュームを使用して水銀が飛散しないよう、細心の注意を払っています。

ラバーダムによる治療の画像|銀歯の方は要注意 水銀を含む「アマルガム」とは|もりもと歯科クリニック

なお、当クリニックはもともと、アマルガムに限らず、金属を使わない「メタルフリー治療」を推奨しています。

私は以前、東京の医科歯科併設医院で臨床経験を積んでいましたが、そこで、歯科金属が原因で金属アレルギーや掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう※)に苦しむ方を多く診てきました。

(※)手のひらや足の裏(足蹠)に、水疱や膿疱が繰り返し現れる病気。手足の爪、すね、膝、肘、頭などに出ることもある。

その経験から、全身の健康に悪影響を及ぼす金属はできるだけ使わず、より安心・安全な治療を行いたい。そして「歯科医療を通して全身の健康を守りたい」という考えに基づき、年間600本以上のメタルフリー治療を行ってきました。

アマルガム除去の治療も多数手がけてきたので、患者様それぞれの状態に合わせて、より安全な治療を提供いたします。

「原因不明の体調不良や皮膚疾患がある」「アマルガムを使った銀歯が入っているかもしれない」「虫歯や歯周病が気になる」など、口腔内でお困りのことがあれば、もりもと歯科クリニックへ、お気軽にご相談ください。

下記のページもご参照ください。
金属アレルギー|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック 
歯の詰め物・被せ物 料金表|金属アレルギー|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック