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治療の前に確認したい金属アレルギーについて〜全身性金属アレルギーの事例から〜

治療の前に確認したい金属アレルギーについて〜全身性金属アレルギーの事例から〜

2021/09/01 ブログ

こんにちは。愛媛県松山市のもりもと歯科クリニック院長の森本です。
当院の「金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト」をご覧いただきありがとうございます。

本日は実際の事例を紹介しながら「治療の前に確認したい金属アレルギーについて」についてお話ししていきます。

皮膚症状の原因となる金属アレルギー

治療の前に確認したい金属アレルギーについて〜全身性金属アレルギーの事例から〜|金属アレルギーによる足裏の皮膚症状のイメージ|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|もりもと歯科クリニック

先日、私が開業前に分院長として勤務していた都内の医科歯科併設医院の患者さんから、長年悩まれていた足の皮膚症状が完全に治ったとお電話をいただきました。

初めて会った時は、数年前から足の裏の水泡と皮膚の角化が出現して歩行するのも厳しい状況の患者さんでした。

皮膚症状は金属アレルギーが原因で引き起こされている疑いがあり、検査をしたところ複数の金属に陽性反応が出ました。体内の金属の除去を提案し、口腔内に10本以上あった全ての銀歯を除去するノンメタル治療を実施したところ、数カ月後には足の症状はかなり軽減しました。

しかし、完全寛解までには至りませんでした。

実は、その患者さんは以前事故にあい、足の骨にチタン製のボルトを入れていたのです。

そのボルトが足の裏の皮膚症状の原因となっている可能性は否定できず、手術が可能ならば除去した方が良いかもしれないとお話ししていました。口腔内の治療は終了したため患者さんは来院されなくなり、私も開業のため医科歯科併設病院を退職して、その患者さんのことは気になってはいたものの経過を見る事ができなくなっていました。

今回のお電話では、その後、「銀歯を除去して症状が改善した」という事実を基に、大学病院の整形外科で足の皮膚症状と金属アレルギーの関係を相談し、骨に入れたチタン製のボルトをとる手術を決断した事をお話してくださいました。

ボルトの除去手術後、足の症状は完全に消えたそうです。

金属アレルギーの2つのタイプについて

金属アレルギーと聞くと、ピアスやネックレスなどの金属が直接触れていた部位が痒くなるといった症状を連想される方が多いのではないでしょうか。

しかし、実は体内に入れた金属が、体内の離れた部位に症状を引き起こす「全身性の金属アレルギー」も存在しています。今回のケースは、口腔内の歯科金属や骨に入れた金属が原因で足の裏に症状が出た「全身性の金属アレルギー」です。

全身症状を引き起こす金属アレルギーは、金属そのものではなく、体内に溶け出した金属イオンが血液の循環によって全身に回ることで引き起こされています。口内炎や歯肉炎、舌炎などに加え、口の周りや背中、手や足など、全身の皮膚の湿疹などの炎症が主な症状です。また、汗疱性湿疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚症状や関節リウマチ、自己免疫性の疾患が増悪する因子になることもあります。

全身性の金属アレルギーの原因の多くは口腔内の歯科金属です。金属が常に口の中にあり、溶け出した金属を体内に取り込み続けている状態のためです。

歯科金属アレルギーの仕組図|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|愛媛県松山市もりもと歯科クリニック

ただ、お電話をくださった患者さんのように、人工関節に含まれている金属にアレルギー反応を起こし発疹などが生じるケースも報告されています。*1*2

金属アレルギーがあることがわかれば、セラミック製など金属を全く使っていない人工関節を使うこともできます。

金属アレルギーのタイプについてはこちらのページもご参照ください

金属アレルギーには2つのタイプについて|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック 

*1(参考)栗之丸 :人工膝関節全置換術後に金属アレルギーを発症した1.整形外科と災害外科 65:(3)43~462016

*2(参考)桑沢安行:チタンプレートによると思われる金属アレルギーの1.pp.1552-1554

金属を入れる前に金属アレルギーの検査をおすすめします

日本では年々アレルギー疾患患者が増加し、同時に金属アレルギー患者も増加してきています。全ての方が金属に反応するわけでは無いですが、特に既に何らかのアレルギーをお持ちの方は色々な金属アレルギーの可能性が高いです。

もしも体内に金属を入れる手術などを受ける場合は、事前に金属アレルギーの検査をされた方が良いでしょう。

治療の前に確認したい金属アレルギーについて〜全身性金属アレルギーの事例から〜|金属アレルギー患者の増加|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|もりもと歯科クリニック

徳島大学病院高次歯科診療部歯科用金属アレルギー外来を受診した新患患者数の推移 

体内に金属を入れる治療で最も頻度が高いものは、歯科治療です。今は金属アレルギーと診断された場合、部位によっては金属を使わない治療が保険でも可能です。

また、金属アレルギーが疑われる症状が出た場合も、もりもと歯科クリニックでは、安全にアレルギーの元となっている歯科金属の除去を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

金属アレルギーの検査の種類についてはこちらをご覧ください

金属アレルギーの主な2つの検査について|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック 

下記のページもご参照ください
金属アレルギー|金属アレルギー・掌蹠膿疱症専門歯科医療サイト|松山 もりもと歯科クリニック